2015年10月31日
朱ビート、Eg、O.H.【スリーブ3】。
前回の投稿で少し上に飛び上がった状態のスリーブ、
綺麗に面取りがされていました。
綺麗に面取りがされていました。
美しいですね。
上から見るとこんな感じ。
お気づきでしょうか。 左の穴の大きさと、真ん中・右の大きさが違います。
そう、左端のスリーブは、内側が66mmに削られています。
アップで見るとより分かりやすいですね。
画面右側は、64mmのままで、左側は66mmに研削済みです。
次回、実際にどのように研削しているのか、ご紹介します。
2015年10月30日
朱ビート、Eg、O.H.【スリーブ2】。
宮崎内燃機さんにお邪魔しました。
この日、朱ビートのシリンダブロックは、一番奥のプレス機に居ました。
この日、朱ビートのシリンダブロックは、一番奥のプレス機に居ました。
私がこの機械を目の当たりにするのは今回が初めてです。
近づいてみると、スレーブ部分が盛り上がっています。
古いスリーブ部分は既に削り取られ、新しいスリーブがプレスされていました。
角度を変えて見ると、こんな感じ。
約2mmほど、浮き上がっています。
真上から見るとこんな感じ。
素晴らしい!
整然と、スリーブがセットされています。
飛び出ている部分は、これから面研磨で削り取るそう。
別エンジンの作業風景ですが、こんな感じで削っていくそうです。
優しい眼差しで作業状況を見守る社長。
工場にカン高い研磨音・・は響かず、クォーンというモーター音だけが聞こえます。
聞くと、100分の2mm削っているそうで・・
さて、シリンダブロックをひっくり返してもらいました。
ぱっと見、縄文式土器を連想したのは私だけでしょうか。
上から見下ろすと、こんな感じ。
お分かり頂けるでしょうか。
少し、段が付いています。
もう少し近づいてみましょう。 何かお気づきになりませんか?
そう、スリーブを入れる穴が、完全にくり抜かれていません。
ちょっと考えれば分かるのですが、完全にくり抜いてしまうと、スリーブが下に落ちてしまう恐れがあります。
その為、2mmほど残して、その部分がスリーブを受け止める構造になっています。
内径64mmを、66mmに広げると、この段は完全に消えてなくなります。
なんともスゴい技ですね。
社長のスゴ技を受け止めるプレス機。
年季の入った代物です。
さぁ、これから先は、いよいよスリーブのボーリング作業。
ピストンリングが入る日も間近です。
楽しみ、楽しみ
2015年10月29日
朱ビート、Eg、O.H.【スリーブ】。
スリーブが届いたということですので見せてもらいました。
全部で三本、三気筒ですから当たり前ですね(^o^)/
こんな感じのものです。
シリンダーブロックの内側を削り取って、この筒を打ち込みます。
このスリーブは、内径64mm。
シリンダーブロックに打ち込んだ後、内側を削って66mmに持っていきます。
長さはこんなに長くなくていいので、途中で切断するそうです。
ビートのエンジンリファインの方法としては、まず例を見ない作業。
(殆どは、オーバーサイズピストンを仕込むか、新品ブロックを使用。)
毎回同じ事を言っていますが、すごく楽しみです。
2015年10月28日
朱ビート、Eg、O.H.【問題発生3】。
シリンダヘッドにめり込んだ異物、
ピストンも破壊したそれを、社長が取り除く作業をしています。
ピストンも破壊したそれを、社長が取り除く作業をしています。
釘と金槌を使って、作業はシンプルです。
手元を撮る為、もう少し近づいて撮影してみました。
軽いタッチの、コンコンコンという音が、作業場に響きます。
反対側からも、慎重に同じ力加減(音から推測)で取り除いていきます。
簡単にやっているように見えますが、相手は固い金属、
想像ですが、実はすごくテクニックを要する作業なのかも知れません。
シリンダヘッドのどこからか一部パーツが剥がれて落ちた可能性もあります。
どこか欠けている場所がないか、折れている場所はないか、慎重に探しています。
「何が落ちたかねぇ・・」
穏やかな語り口で、独り言とも、私に語りかけているとも分からないニュアンスで、
見づらいところまで、探してもらっています。
しかし、結局、この日、金属の欠片の正体は分かりませんでした。
飛び出ている部分を削り取った直後の様子。
「これを平らに均して行くんですか?」
私が社長に問うと、いや、この先、更にめり込んだ異物を掘り起こす、とのこと。
このまま均してしまうと、万が一、めり込んだ異物が、熱と衝撃で剥がれた場合、
また、シリンダとピストンを破損させてしまうかも知れないそうです。
ですので、異物の部分は完全に取り除き、残った穴はそのままにしておくそう。
ここに少々凹み穴があっても、影響はないそうです。
2015年10月27日
朱ビート、Eg、O.H.【部品】。
分解が進んでくると、使える部品、使えない部品が分かってきます。
その結果、そののままでは使えない部品、あるいは、
手間を考えると、この際交換しておいた方がいい部品の手配が始まります。
ということで、ご覧下さい・・。
このスゴイ量・・
その結果、そののままでは使えない部品、あるいは、
手間を考えると、この際交換しておいた方がいい部品の手配が始まります。
ということで、ご覧下さい・・。
このスゴイ量・・
一番奥にあるのは、ピストンリング、サーモスタット等。
手前にはタイミングベルトやクラッチディスク、オイルフィルタ、ウォータポンプ等々・・。
右奥には、ガスケット類がチラッと見えます。
でも・・実は、こんなものではありません・・。
さぁ、見て驚いて下さい
こちらは主にホース類。
多様な形のホースが繋がっているんですねぇ・・。
E07A復活に向けて、準備が着々と進んでいます。
2015年10月26日
朱ビート、Eg、O.H.【問題発生2】。
傷がついてしまった3番目のピストン、
ダメなヤツを一つだけ交換、という訳にはいきません。
全体のバランスが崩れてしまうからです。
ダメなヤツを一つだけ交換、という訳にはいきません。
全体のバランスが崩れてしまうからです。
ですので、ピストンは、3つとも新しいものに交換です。
しかし、それを支える棒の部分、コンロッドは、全く劣化していないようでした。
「オイル管理をしっかりとしていたおかげですよ」
社長がまた嬉しいことを言ってくれます。褒められて延びるタイプです(笑)。
そのコンロッドと接続し、上下運動を回転運動に変換する部品、クランクシャフトがこれ。
このクランクシャフトも、そのまま問題なく流用です。
段々、使える部品、使えない部品が判明してきました。
後は部品の発注到着と、社長のスケジュール次第ですね。
2015年10月25日
朱ビート、Eg、O.H.【問題発生】。
宮崎内燃機さんへ行ってきました。
開口一番、社長が語った言葉は、
「問題発生」
そう言って見せてくれたのが、3番のピストン。
開口一番、社長が語った言葉は、
「問題発生」
そう言って見せてくれたのが、3番のピストン。
さて、これのどこに問題が発生しているのでしょうか。
更に近づいてみると・・、
何か、丸い模様のようなものがあります。
角度を変えて、他のピストンと見比べてみると・・、
左手に持つピストンの右端が欠けています
ピストンにこれだけの衝撃があるのなら、バルブ側もタダでは済まないはずです。
ということで、バルブ側を見てみると・・、
ありました!
画面左上、小さな丸い金属片?、が叩き込まれています。
ピストンがハンマー代わりになって、めり込んでいるようです。
となると・・、ブロック側もタダでは済まないはずです。
ということで、シリンダー側も見てみると・・、
お分かりになりますか?
画面右側シリンダー、縦スジが刻まれていますね。
指で触わっても分かる程のキズです。
社長曰く、0.25mmはおろか、0.50mmでも取り切れないだろうとのこと。
この時点で、私が描いていた理想、
ピストンリングを入れ替えるだけの修理ならいいなぁ・・は、理想に終わりました。
となると、この先、修理の方向性は二つに分かれます。
内側をボーリングして、それに見合うオーバーサイズピストンを入れるか、
シリンダー内部を全部削り取って、オリジナルサイズの筒(スリーブ)を入れるか、です。
皆さんならどちらを選びますか?
私は迷わず後者を選びました。
密かに、700cc仕様にしたい・・と考えている人にとっては、
いいチャンスなのに、何ともったいない・・と思われるかも知れません。
しかし、純正命である私にとって、ボアアップは選択肢にありません。
コストも手間も掛かるスリーブ打ち込みは、E07Aのリファインではまずやらない方法です。
(居合わせたカワサキレーシングの社長も、え?スリーブ入れるの!?と驚いていました)
でも、やっぱり、オリジナルであること・・は、私にとって大切な要素です。
ということで、修理内容が決まりました。
『ブロック内を一度ボーリングし、純正サイズのスリーブを入れて組み上げる』
さぁ、方向性が見えたことで、修理は一気に加速していくことでしょう。
完成が楽しみです。
2015年10月24日
朱ビート、Eg、O.H.【分解】。
宮崎内燃機さんに行ってきました。
すると、作業台に、こんなものが乗っていました。
すると、作業台に、こんなものが乗っていました。
朱ビートのエンジンです。
これは、上下逆さまの様子。つまり、底が上を向いているんですね。
いよいよ、分解が始まったようです。
すぐ下には、オイルパンがありました。
内側はこんな風になっているのですね。
オイルゲージも刺さっています
クラッチディスクも見せてもらいました。
放射状のツメを持つ画面右上の部品は、殆ど劣化がなくこのまま使用するそうです。
ツメの部分が摩耗してしまうと使えないそうなんですが、
「上手なクラッチ操作をしていましたね」
と言ってもらい、ちょっと運転を褒められたようで嬉しいですね。
画面中央のスプリングが4カ所取り付けてある部品、
これは、経年劣化(3000rpm辺りでシャーンという音がする症状)で交換です。
画像一枚目の逆さま状態を元に戻してもらいました。
お分かりになるでしょうか。
中央と右側のピストンはオイルで濡れています。
バラした直後も、かなりオイルが染みていたそうです。
やはり、現象はオイル上がり。
更に分解が進めば、シリンダー内がどうなっているのか、明らかになります。
バルブ類も見せてもらいました。
天井側もスラッジやカーボンが張り付いています。
丁寧にオイルメインテナンスを続けていても、やはり22万㎞の蓄積はあるのですね。
正面から見るとこんな感じ。
中央の左二本のピストンは「P」の文字まで見えて一見綺麗な状態に思えますが・・、
本来入ってきてはいけないオイルで洗われた結果だそうで・・
スプリング側から見るとこんな感じです。
一本のカムで12本のスプリングを駆動します。
真上から見るとこんな感じ。
中央のくぼみにカムシャフトが通ります。
そのカムシャフトがこちら。
とてもいい状態を保っているそうで、このまま使用するそうです。
この日お邪魔した時は、E07Aの子孫、バモスのE07Zの作業をされていました。
お忙しいところお邪魔して申し訳ありませんでした。
この先も、朱ビートのエンジンをよろしくお願いします<(_ _)>
2015年10月22日
朱ビート、エンジンオーバーホール【脱着2】。
前回、朱ビートから降ろされたE07Aをご覧頂きましたが、
降ろしたエンジンがあるのなら、その抜け殻も見てみたいのが人情ですよね
ということで、行ってきました。
降ろしたエンジンがあるのなら、その抜け殻も見てみたいのが人情ですよね
ということで、行ってきました。
高橋自動車整備工場。
宮崎内燃機工業からさほど離れていない場所にあります。
国道沿いから敷地内を見回しても、朱ビートらしきクルマはありません。
そこで、工場の奥に入っていくと・・。
居ました!
高いところから失礼します・・といった風情ですね
ビートのエンジンは、上から抜くのではなく、下に降ろす構造になっています。
ですので、ビートは、上げておいた方が好都合なんですね。
近づいて見上げてみましょう。
お~、ドンガラです
角度を変えて見てみましょう。
やっぱりドンガラです
チラッと、KYBのサスペンションが見えます
ヘタったサス交換をしようと思った時には、純正が製造中止になっていました。
これはもう・・本当に、痛恨の極みです
お話がちょっと逸れましたが、いずれこの場所にリニューアルしたエンジンが戻ってきます。
いやぁ、楽しみ楽しみ。
チラッと、KYBのサスペンションが見えます
ヘタったサス交換をしようと思った時には、純正が製造中止になっていました。
これはもう・・本当に、痛恨の極みです
お話がちょっと逸れましたが、いずれこの場所にリニューアルしたエンジンが戻ってきます。
いやぁ、楽しみ楽しみ。
2015年10月19日
朱ビート、エンジンオーバーホール【脱着】。
再び宮崎内燃機さんにお邪魔しました。
画面右下になにかあります。
近づいてみると・・、
外された朱ビートのエンジンでした。
反対側から見るとこんな感じ。
反対側から見るとこんな感じ。
軽自動車エンジンとしては異例の、三連独立スロットルバルブが見えます。
三つのポートそれぞれにスロットルバルブを設置して、レスポンスの高い吸気を実現しています。
近いうちに分解が始まるそうです。
どんな状態になっているのか・・楽しみですね。
2015年10月16日
朱ビート、エンジンオーバーホール。
住宅地の一角にある、スレート葺きの建物。
油断すると通り過ぎてしまう、目立たない場所にあります。
中に入ってみましょう。
屋内には、加工機械や研削機械が所狭しと並んでいます。
画像中央奥にチラッと写っているのが社長です。
かなりお年を召されている方ですが、この道一筋!といった素敵なオーラを感じます(個人差あり)。
何と、こちら、社長お一人で作業をされています。
聞くところによると、社長の腕を見込んで、全国の修理業者やレーシングチームから仕事の依頼が舞い込むそうです。
実は私、9月の中旬、直接修理のお願いに行ったのですが、高齢を理由に一度は断られてしまいました
一ヶ月後なら、何とかなるかも・・ということで、何とか受けてもらえた経緯があります。
屋内から入り口側に振り向くと、こんな感じ。
お世辞にも広くて新しいとは言えない工場ですが、年季の入った機械たちは、何だか誇らしげです
入り口右側の通路から奥を見ると、こんな感じ。
やはり、機械だらけです
私がお邪魔した時は、工場の一番奥のマシンで作業をされていました。
鋭い金属摩耗音を響かせながら、何かを加工されているようです。
何の作業をされているのかお聞きしたかったのですが、お邪魔になってはいけないと思いやめました
これからエンジンを降ろして、中身を確認して修理内容を決めていきます。
せっかく降ろすのですから、エンジンマウントは交換してもらおうと思っています。
さて、私の朱ビート、メインの依頼内容は、煙を吐くエンジンの修理です。
恐らくですが、オイル上がりで、一緒にオイルが燃えているのだろうと思います。
オイルシール劣化が原因で煙を吐いているだけ・・なら、それだけを交換してもらうだけで済むのですが、
大抵、シリンダ内にキズがあって、内側を薄く研磨することになるのかも知れません。
出来れば、内側研磨することなく修理が完了するといいのですが・・。
いえ、コストアップが心配でそう言っているのではなく、排気量が増えるのがイヤなんです。
エンジンを降ろすのだから、ボアアップも検討すればいいのに・・と言われる方もいました。
しかし、排気量が増えれば、それはもう、オリジナルではありません。
私の信念として、デカい排気量のクルマに乗って速くても、愉しくないんです。
ストレートで置いていかれるのは分かっています。
でも、それは、ドライバーの資質ではなく、単純にクルマの性能です。
DOHCでもターボでもないE07Aを速く走らせる為には、超高回転ユニットの特性を生かした操作が必要です。
その「操作」が楽しいんですよね。
そして、それこそが、ビートというクルマの存在そのものであり、運転の愉しさに繋がっています。
小気味いいシストフィール、高回転まで一気に回る元気なエンジンユニット、反応のいいステアリング等々。
軽枠660ccという縛りの中で、クルマを操る愉しさだけを目的に作られたクルマだからこそ、
その枠を破りたくない・・という思いがあるんです。
今は、高回転まで一気に回してしまうと、とても精神衛生上悪い状態になっています。
エンジンへの負担を考えると、あまり回すことは出来ません。
修理が完了して、元のガンガン回せるエンジンに戻ったら・・なんて、ニヤついてしまいますね